会社の社長の一番大事な仕事は意思決定です。
意思決定には日常的に繰り返し行うものから大型の設備投資、業務提携、資本提携の話など様々です。
このような意思決定を行う際に過去に投資したお金のことが気になってしまうという経験は誰にでもあることだと思います。
しかし過去の投資を変えることはできません。ではどのように意思決定を行えば良いのでしょうか?
ここで「埋没原価」という考え方がでてきます。「埋没原価」とは、どういう意思決定をしても発生する原価や既に発生している原価をさします。
つまり過去の出来事である「埋没原価」は一切考慮に入れずに今後の投資額と期待できる利益のみを比較して意思決定を行えば良いのです。
例えば、システム開発でスケジュールが遅延し、追加投資をするのかそれとも開発を中止するのかという判断をしなければならないような場合、過去の開発費用は開発を続けても中止しても変わらない費用ですから「埋没原価」として無視し、今後追加的に見込まれる投資額とシステム導入による利益を比較して意思決定を行うといった場合がわかりやすいのではないかと思います。
「埋没原価」を認めることは過去の過ちを認めることと同義ですから心理的に受け入れ難いものがあることは確かですが、合理的な意思決定を行うためにはこのような考え方があるということを理解しておく必要があると思います。